ローランド・バティック(p)
ウッディ・シャバタ(vib)
ハインリッヒ・ヴェルクル(b)
レーベル名 : insights
CDナンバー : CMJD-25001
税抜価格 : ¥2,500_
発売日 : 2002/ 6/24 オーストリア   2002/ 9/20 日本
録音 : 2001/12, オーストリア・ウィーン


プロデューサーノート

フランク・シナトラの生涯でもベスト・アルバムと言って良い「Only The Lonely」は、 シナトラがピエロに塗り変えられたカバーで、男が恋を失った孤独をしみじみ歌った名唱。私の愛聴盤である。

高樹レイさんの最初のアルバムは、彼女が自分のレパートリーから選曲した。
通常のジャズヴォーカル盤通り、速いテンポのもの、スローバラード、ボサノバ、と色々取りまぜて変化をつくる配慮をした。が、今回は私が全面的にプロデュースすると決めたから、アルバムとして、ひとつの意図に添って選曲した。テーマは、シナトラと同じ、恋を失った女性の歌を集めた。当然、スローバラードばかりになるが、1枚のアルバムにひとつのムードが一貫して流れる。それで良しと意を決して彼女を説得した。

これと同じ様な企画の女性ヴォーカルのアルバムがないかと探してみたが、意外に見つからなかった。ビリー・ホリディの歌唱は孤独な女性の歌が多い。だが、こうした意図でまとめられたアルバムはないようだ。”I Cover The Waterfront”は、もちろんビリーのアルバムに入っている彼女の持ち歌で、それを選んだ。

共演にローランド・バティックのドラムレスのトリオを選んだ。日頃、スタンダードはあまり演奏しないこのグループに、僕の意図を録音する前から、何度も飲んで話しあった。”In The Wee Small Hours of The Morning”ではオスカー・ピーターソンの”The Trio, Live from Chicago”の名演を参考にして欲しいと、CDを買ってプレゼントした。

アルバムが成功したとすれば、すべて周到な準備の成果であり、高樹レイさんは新しい境地を開いたと思う。

ウィーンのジャズランドが開店50周年のプロジェクトに彼女を招待してくれて、6月24日の出演を決めてくれた。それにあわせて、ヨーロッパで先行発売と記者会見が出来たのは幸せである。

プロデューサー 井阪 紘 氏